Take Me 同好会(非公認)のブログ

MLB(メジャーリーグベースボール)を中心に月1ペースで記事を書いたり書かなかったりしています。

We will see you tomorrow night!が生まれるまで2/2

 1991年のワールドシリーズは、ALCSを制したミネソタ・ツインズ(95-67)とNLCSを制したアトランタ・ブレーブス(94-68)の前年最下位球団同士による対決となった。そしてワールドシリーズが7試合制になってからは歴代最長タイ記録となる、69イニングに渡る激戦を繰り広げた。

 

 今回は、そのシリーズを飾る名言、”We will see you tomorrow night!”が生まれるまでを記事にした。後半も、主に試合の振り返りである。

 

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takemeout.hatenablog.jp

 

 

 ここまで、1点差試合3試合、サヨナラ試合2試合と気が抜けない一進一退の攻防を繰り広げてきた両球団であったが、お互いホームでしか勝てないという内弁慶シリーズの様相を呈していた。そして、第6戦からは試合会場をミネソタ・ツインズの本拠地であるメトロドームに移すことになる。

 

 第6戦

 2連勝と幸先の良いスタートを切ったツインズだったが、敵地で手痛い3連敗を喫したため、背水の陣で挑むことになった。

 そのマウンドを託されたのは、第3戦で悪い流れを生み出したきっかけとも言えるスコット・エリクソン。メジャー2年目だがAS選出を果たしており、20勝はALトップの数字だった。ジャック・モリスに次ぐ投手である。

 ブレーブスは、5回にペンドルトンの2ランホームランでツインズと同点に持ち込むも、その裏にツインズが再びリード。そして、7回にブレーブスが再び同点にすると、シリーズ2度目の延長戦に突入することになった。

 延長11回、ブレーブスは初戦のマウンドを託していたチャーリー・リーブラントをマウンドへ送り込む。バッターボックスにはカービー・パケット。シリーズ不調だったものの、初回にタイムリスリーベース、3回に守備でファインプレー、5回犠牲フライと、後がないツインズを攻守で支えていた。

 観客のボルテージは最高潮に達する。真ん中付近に抜けたチェンジアップを、パケットが完璧なタイミングでスイングすると、まるでそれが必然であったかのように打球は観客席へと吸い込まれていった。

 この時、様々な実況がこの状況を表すフレーズを口にしているが、Jack Backはこう口にした。”And we'll see you tomorrow night!

 余談だが、このフレーズは息子であるJoe Backも口にしている。2011年のワールドシリーズ第6戦、このシリーズでMVPを受賞したデビッド・フリースサヨナラ本塁打において用いられている。

 

 第7戦

 両球団は、それぞれジャック・モリスジョン・スモルツに第7戦を託す。2-3の投手戦となった第4戦と同じ組み合わせである。

 両先発共に得点を許さない厳しい試合展開が続き、8回表、ツインズは土壇場において信じられないトリックプレーを行った。ノーアウト一塁でテリー・ベンドルトンが左中間にヒットを打ったものの、一塁走者であるロニー・スミスが打球を見失ったことを受け、ツインズ二遊間は併殺プレーを偽装。スミスは二塁を駆け抜けることなく一旦止まってしまい(wikipediaではスライディングと記載されているが)、打球を処理する外野手を確認して三塁に向かった。

 ノーアウト一塁三塁とピンチであることに変わりはないものの、ファンの声援を受け、ケリー監督はモリスの続投を決定。モリスは敬遠を挟んだ後のワンアウト満塁からのダブルプレーでファンの期待に答えた。

 一方、その裏にワンアウト一塁三塁のピンチとなったブレーブスのコックス監督は、好投していたスモルツを降板させ、後続のマイク・スタントンの敬遠策により、状況は同じワンアウト満塁となる。しかし、結果も同じダブルプレーに終わる。9回は両球団無得点。

 2試合連続、シリーズ3度目の延長戦に試合は突入する。モリスが続投し10回表を抑えると、その裏、再びワンアウト満塁の状況が生まれる。バッターボックスはジーン・ラーキン。1987年のミネソタ・ツインズWS制覇を知るバッターである。

 ジーン・ラーキンが打った滞空時間の長いフライは、追いかけるレフトの前方にゆっくりと落ちた。それは長かったワールドシリーズが終わる瞬間であった。

 今更ながら、写真がなんの関係もないことは気にしないでいただきたい。では、このへんで。

 

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